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2024年03月29日  21時46分
鬼針
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2006年06月27日(火)

 昨晩も、大日本プロレスの登坂ブチョ−様から、御招待を頂きまして、大日本プロレスの興行を拝見させて頂きました。
 
 以前も書きましたが、仕事で知り合ったプロレス団体の皆様です。
昨日、久々にBADBOY非道選手と伊東竜二選手が、タッグチームを組んでの試合が在りました。
 彼等の、数多くの勝負の中で、とても思い出深い試合が在ります。
2004年12月18日、横浜文化体育館でのデスマッチヘビー級選手権試合と云う試合です。
 10アイテム・デスマッチと云って、10種類の凶器が用意されている試合です。
 普段は、伊東選手自ら、様々なアイテムを自ら作るのですが、スケジュール的な問題から、一部手伝って欲しいと云う、オーダーが私の所に在りました。
 基本的には伊東選手が、アイディアを出すのですが、実現出来るかどうかと云う、其の眼差しは、いつも真剣な物でした。
 一つ間違えば、大きな怪我を負い、自分の体は疎か、対戦相手の体にも大きなダメージを与えて仕舞います。
 最悪の場合は一人の選手の人生を棒に振らせて仕舞う、危険な仕事でした・・。
 
 撮影現場は、危険を感じた瞬間に、誰でも止める事は出来ます。
それ以前に、安全の確認出来た事しかやりません。
 しかし、プロレスは違います・・。ゴングが鳴ったら、レフリーしか試合を止める事は出来ません。  こちらの不手際が発生しても、「ちょっと待って!」と言って、試合を止める事は出来ないのです。 芝居も同じですが、幕が上がって仕舞うと、一切の失敗は許されないのです。
 
 話は戻りますが、私達が用意した凶器の中で、有刺鉄線を使用したネットが在りました。 普通の暮らしをして居る人が、有刺鉄線に引っ掛かる事など人生では先ず無く、触った事も無い方が当たり前の代物です。
 私も、有刺鉄線の針の規格が2種類在るとは知りませんでしたが、製作した美術スタッフが、針の長さを通常よりも太くて長い「鬼針」と言う有刺鉄線を使用して仕舞ったのです。
 試合前に、両選手が別々に、アイテムのチェックに来たのですが、伊東選手が先ず其の違いに気が付きました。「鬼針だ」と少ない言葉で、其の危険度を再認識させられました。
 なにしろ、通常の有刺鉄線でも、体には沢山の傷が出来ますが、鬼針だと、其の傷が更に深く、下手をしたら、肉迄 抉り取られて仕舞う可能性が在るからです。

 大変な事をして仕舞った・・。と試合開始迄に何とか張り替えようと、提案しましたが、彼の答えは「これでやる」と云う答えでした。

 こちらの方こそ心配でしたが、非道選手も言葉少な気に、一つ一つのアイテムを事前チェックして、鬼針に対して怪訝な表情でした。
 私が謝罪し乍ら、大丈夫ですか?と訪ねると、呟く様な声で「大丈夫です」と言う声が戻って来たのです。自身に溢れたプロフェッショナルの声でした。
 
 試合は勿論メインイベントです。
蛍光灯、画鋲、ガラスボード、サボテン、等、怪我をしそうな物ばかりが、彼等の肉体を容赦なく傷つけて行きます。
 そして鬼針も、通常よりも深く彼等の肉体にダメージを与えて居るのがセコンドで観て居て解りました。

 勝負の決着は、伊東選手が見事にベルトを防衛することに、成功したのですが。
試合後、伊東選手が非道選手に対し「お前は最高の挑戦者だ」と非道選手を称えた姿に、彼等の本当の戦いの意味を感じました。
 非道選手の戦っている時の冷たい温度を感じる眼差しは、私が子供の時にテレビで良く見た、上田馬之助選手の瞳に 時よりオーバーラップされます。
 上田選手も非道選手も 双方、私にとっては最高のヒール(悪役)です。
昨日も、非道選手の後ろ姿に、プロフェッショナルな闘う男の姿を感じました。
 血に濡れた金髪は、私の背筋を少年だった頃の様に震え上がらせます。
其の震えは、恐怖では無く。彼等の勝負の世界が私に齎(もたら)す、感動に因る震えでした。
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2007年02月24日  19時18分
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